争いは

つづく

日記7

後日記(なにそれ?)

 

この間、フォトスタジオで証明写真を撮ってもらった 言わずもがな、用途はアレである

お店で証明写真を撮ってもらうのは二度目だ 一度目は2年前、通常からすれば考えられない時期(おそらく夏の終わりから秋にかけてくらい、とうにみんな内々定の出ているような時期)に撮りに行った 当初全く就活をする気が無かったのと、さすがに撮った方がいいのでは?と思った頃にはもうすっかりおかしな時期で、いまさら行っても店員さんに馬鹿にされるんじゃないか?と疑心暗鬼になりタイミングを見失ったことで、そんなことになったのだった 定評のありそうな、チェーン展開しているらしいフォトスタジオをネットで予約した 後になって調べると、どうやらプラン内容がシステム化というか統一されているだけであってお店自体はそれぞれ個人店のようだった おれの行ったところは老夫婦が二人で営むお店で、ほんの少し歴史を感じる佇まいをしていた

そこで撮ってもらった写真がプリント・データともに残っていたので、今回もそれを用いるという手はあった しかし、いつごろ撮ったものなのか相手にバレないにしてもちょっと非常識な気がするし、2年間での自身の外見の変化も感じている それに、老夫婦の優しく親切な対応が印象深かったので認めないようにしていたが、なんとなく満足していないところがあり 別の店で撮り直すことに決めた

新たに行ったところはチェーン店で、若々しい明るい雰囲気 店員さんもカメラマンの人も気さくで接しやすく、丁寧な仕事に好感を持てた

一応お直しという形で、自前の化粧の上からそれ用のメイクを施してもらったのだが、眉毛の描き方にどうしても左右差を感じてしまう 自分で化粧する時にはない左右の眉毛の違い 正直「なんでそうなる?」と思うほどの左右差 前の店でメイクしてもらった時もそうだった (まあ、生え方が左右対称ではないから仕方のないことではあるけども 慣れない顔に筆をのせるのは難しいものかもしれないし、普段おのれの顔を見慣れている自分と見慣れていない他人では感じ方に違いがあるのかもしれない もしかすると、自ら化粧を行う際にも自覚していないだけで他人はおれを見て左右差を感じている可能性もある………) だけどそんなことをひたすら慮ったところで意味はない うーと思っていると、最後に担当の人が「何か気になるところないですか?」と聞いてくれた 申し訳無さ半分、勇気を出して「眉毛の左右差が……」と言ったら、調整してもらえて、よかった(整えてもらった後も多少左右差はあったが、結局片方は前髪で隠れた)

新たに撮ってもらった写真の自分は、前より痩せていて、眉毛の左右差がなくて、表情がきりりとしていて、なんとなくフレッシュな感じがした 鏡で見る自分、自撮りの自分、他撮りの自分、そのどれとも同じようで少し違う自分であったが、他人とは思えない、紛れもない自分である 少なくとも悪い印象は抱かれることはなさそうだと感じた 納得の仕上がりだった

 

新しい写真を見たうえで、前の写真を見返していて気づいたことがある 前の写真のおれは、顔のほくろが全て綺麗に除去されているのだ

たしかに、おれの顔にはいくつかほくろがあって、やや存在感もある だけど別におれは全然そのことを気にしてなんかいないし、それ含めおれだと思っている しかも、自分の顔、容姿に対してある程度関心を持った上でそういう認識でいるのだ なのに、頼んでいないのに、ただの好意から、いやわからないけどある種の刷り込み、思い込み、ステレオタイプから、前のフォトスタジオの人は、おれの顔からほくろを完全消去したのである

なんだか余計なお世話だな〜と、今更ながら残念な気持ちになってしまった 絶対に嫌味はないだろうし、優しくしてくれたから、嫌なやつ!と思えないのがちょっとだけ苦しいけど もう気にしても仕方ない

 

実際、おれのほくろを見て「こいつ嫌」と思う人っているんだろうか でもそんなやつのいるところなら、こっちから願い下げだね

そういう強い気持ちも持っていたいよ