争いは

つづく

鬱病合戦2023

おれは恐ろしかった 恐ろしくて仕方がなかった 恐ろしさから逃れようとすることしかできなかった 逃げたのは、なぜか それは、自分が傷ついてしまうことがさらに恐ろしかったから 傷つくことはおれに死を意識させた 傷つくことが怖かった これ以上傷が増えないように、とにかく自分で自分を守ってきた 死から逃れるように恐怖を逃避した なのに、いざ生が意識されはじめると、この身の傷の少なさが、なによりいっそう恐ろしく絶望的なものに思えるのだった 恐ろしかった おれは恐ろしくて仕方がなかった

 

抱きしめて……

就活関連の講座があった グループディスカッションや集団面接などを3時間弱みっちりと体験し、フィードバックをもらう、そんな講座 大学で無料でそういうのを受けられたりするんだけど、おれはあえて、大学が外部から講師を呼び込んで主催するそのイベントに1000円支払った上で参加をした

こういう面倒なこと、必須というわけではないようなことから、おれはどうしても逃げがちだから、心が強気なうちにお金を払うなりして、未来の自分の意思や行動を方向づける必要があったのだ 実際のところ、申し込んでしばらくのうちは本当に嫌で仕方なく、お金を払わずにそのまま忘れたふりをしようかなんて考えたりもしていた(が、期限当日になって「払えよ〜」という意の連絡が来たため、しぶしぶ腹を括ったのだった) おれは案外だらしがない

このような講座は、うまくやれる人には本当に必要のないものなんだと思う おれ自身もそうでありたかった 要領よくありたかったよ 本当にね ありたかったし、なにより面倒だから、以前(大学院に進学する前)はそういう機会があってもひとつも参加しなかった そのこと自体に別に後悔はない

だけど、そうして現状に向き合う機会から目を逸らし続けてきた自分自身の歴史には、思うところがないでもなく、今回は逃げないことにしたのである

怒られにいってみよう、と思った 自分をもっとわかりたいと思った 実感を伴って色んなことを納得したかった

 

講座は1日開催で二部制であった いずれかの時間帯を選んで申し込みを行うのだが、おれはすっかり自分が参加すべき時間を失念してしまっており、散々迷った挙句、二択を外したようだった 支払いの催促をしてきた番号から、最初の部が始まった10分後くらいに「参加せえよ〜」の電話がかかってきた この一連は、おれのこれからを不安にさせるのに十分であった(ポンコツ)(ほんまに社会人なれる?)(逃げたい)(こんなことに限って忘れるなんて)(ポンコツ)(逃げたい)(逃げたい)(逃げたい)

 

逃げなかった 多分逃げたらまた電話がかかってきてただろうしな

オンライン形式で講座は行われた コミュニケーションを楽しむということを強く意識して臨んだものの、結果として、あまり楽しめた実感はなく、事前に用意した回答をまんま述べることさえ危うかった 自室の空気の冷たさゆえか、緊張のためか、全身が常に震えていた

同じグループのおれ以外の人達は、みななにかしらの対策講座で場数を踏んでいるようで、話し方も落ち着いていて、なかなかに上手い立ち回りをしていた(逃げたい逃げたい)

グループディスカッション時、それぞれがたちまち書記、司会、タイムキーパーなどの役割に立候補していって、おれだけ宙ぶらりんな状態のままディスカッションが進んで行ったの、地味に苦しかったな 意見はしっかり出させてもらったけどよ(後になって「発表者させてください!!」と言って、発表者の役割を得た 発表自体は間違いなくめちゃくちゃだったけど、「発表者させてください!!」という言葉と姿勢は、評価担当者的にそこそこ印象が良かったらしい)

面接練習では自己PRと学生時代に力を入れたこと(いわゆるガクチカ)について尋ねられた もともと文章は用意していて、内容も頭に入れてたんだけど、思ってた以上に上手く話すことができなかった 表情が固く、話し振りからもめちゃくちゃ緊張してるのがわかったらしい 熱とか人柄が伝わらないとも言われた それはかなり自覚がある

話の内容自体は特に問題ないとのことだった すでに添削してもらっているからな、そりゃそうよ いやいやよかったね ただ内容に求めるポイントには個人差があったりして、よっぽど華のあるエピソードでないと万人の心を掴むのは難しいように思われた とはいえ、きちんとその人らしさの伝わるような振る舞いは大切で、またそれを好意的に受け止めてもらう上では、やはり明るく振る舞うことは賢明というか、必要不可欠な感じがしたよ(職種とか会社の雰囲気にもよるだろうけど) あと、エピソードに関してより具体的な描写があるほうが、余計なようでも、他者との差異化やリアリティの演出においては効果的なんだなあと思った その後のコミュニケーションにつながったりもするし

正直こういうのは講座なんか受けなくても考えただけでなんとなくわかるんだけどね それでも実感できたのはよかったと思う 雰囲気知れたし 自分を客観視する手助けにもなった

逃げなかった自分を褒めたいニャン

 

おれは、これからも傷ついていけるだろうか

果たしてどう生きていくのか───